和鐘(わしょう)〔雨乞鐘 あまごいがね〕
福井県指定文化財
延元元年(一三三六)暴風雨の時、鐘が打ち寄せたのでその地名を鐘寄(かねより)と名づけた。
付近の祠に納めたが、「アネゴーン」の音色を発するので、姉に当たる鐘が海中にあるものと幾度か捜したが、引揚げることは出来なかった。その後、神のお告げによって、永和三年(一三七五)現在の佐伎治神社に奉納した。
姉をしたう妹鐘は、旱天(かんてん)続きに海中に沈めると雨を降らす故を以て、雨乞鐘と名付けた。近年では大旱魃(だいかんばつ)の為、昭和十四年七月十日午後、鐘寄の海岸に沈めると青葉山麓から、紫黒色の雲が盛り上り雷雨をもたらし、一夜明けた住民は、伝説の恐ろしさと信仰の尊さに感服したのである。
『高浜小唄』西条八十 作詞 中山晋平 作曲
姉が恋しいと夜なく鐘は、
佐伎治お宮の雨乞鐘よ
恋しいお方の出船のときにゃ、
私しゃ夜も泣く昼も泣く トエ、サッテモナー